薔薇の間……
見たこともない、だが、仮に値段をつけようものなら、信じられない金額になるであろうドレスの数々が、所狭しと並べられている。赤、黒、白、紫。目にも鮮やかな色の世界に、彼ならずとも人はその心を射抜かれ、しばし言葉を失うに違いない。

「ペニスバンド、そうね。このペニスバンドで、体の大きな子供は遊ぶの」
「僕は……」
「なあに?」
「エリザベートさんに、このペニスバンドで、遊んで欲しいです……。そのペニスバンドで、僕のこと、無茶苦茶にして下さいっ!」
支配の間……
美しい男達は服従する、更に美しい、この世で最も秀麗なる女装者に。
永遠の退屈、それを紛らわす為の遊戯。暴力と服従と快楽を味わう甘美なる刹那に彼らは酔い痴れる。

「もっと名前を呼ぶのよ! もっと! 私が満足するまで、死にかけの小鳥のようにさえずるの!
 ほら、どこが気持ちいいの? お尻の中をかき回されて、何が感じるの?
 言葉にしなさい、口に出しなさい、そうすればもっと気持ちよくなれるわ!」
双子の間……
女装幻想城には、双子の間と呼ばれる部屋が二つある。そう、まるで本物の双子のように、部屋もまた同じように、対を為しているのだ。双子とは言っても、それぞれに個性の違う美しさを持つ城の化身……

「ふあっ、い、いっぱい、入ってくる! あんっ、くっ、ドリアーヌ! ドリアーヌ!
 僕、男の子なのに……女の子みたいだ……ドリアーヌはさっき……ひうっ……こんな気持ちだったのかな……そうだよね……?」
「ええ、そうよ……感じなさいシルヴェーヌ……体の中にある異物感……素敵でしょう……女性と男性の間をつなぐ……不思議な気持ちよさ……」
??の間
その姿を知る者は未だ誰もいない――
??の間
その姿を知る者は未だ誰もいない――
??の間
その姿を知る者は未だ誰もいない――
??の間
その姿を知る者は未だ誰もいない――
そして、すべてを見た先にあるという、永遠の世界とは――